尿漏れはなぜ起きる? 女性ホルモンとの関係とは?
トイレを我慢していたわけではないのに、くしゃみをした時や走った時などに少量の尿が漏れる。もしかしたら原因は女性ホルモンにあるかもしれません。実はこのような尿漏れトラブルに悩む40代・50代の女性は多くいます。なかなか人に言いづらい尿漏れのこと。今回は40~59歳の女性500名へのアンケート結果*を交えながら、原因と対策を紹介します。
※FI ME KA調べ(2021年)
目次
- 尿漏れとは
- 尿漏れが起こりやすい年齢
- 尿漏れと女性ホルモンの関係
- 尿漏れ対策
■尿漏れとは
尿漏れとは、自分の意思とは関係なく尿が漏れてしまうことと定義づけられています。尿漏れにも様々な症状があり、大きく「腹圧性尿失禁」「切迫性尿失禁」「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」「機能性尿失禁」に分けられます。
・腹圧性尿失禁
女性の尿失禁の中で最も多いと言われているのが、腹圧性尿失禁です。くしゃみや咳、運動などでお腹に力が入ったときに尿が漏れるタイプです。骨盤底筋群という尿道括約筋を含む骨盤底の筋肉が緩むために起こり、加齢や出産後に出現することがあります。
・切迫性尿失禁
急に尿がしたくなり、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。脳血管障害などの病気が原因の場合もありますが、多くの場合、原因不明で勝手に膀胱が収縮してしまうことで起こります。
・溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
尿を出したいのに出せないけど、少しずつ漏れ出てしまうのが溢流性尿失禁です。このタイプは、尿が出づらくなる排尿障害が前提にあります。男性に多く見られるタイプですが、女性でも直腸癌や子宮癌の手術後などにあらわれることがあります。
・機能性尿失禁
こちらは認知症や歩行障害などの身体機能の低下など、排尿機能以外の原因で起こる尿失禁です。介護などが必要なケースになります。
■尿漏れが起こりやすい年齢
40代~50代の女性を対象にしたアンケートによると、尿漏れの経験を「ある」を選択した割合は33.2%。経験したことがある方の中でも、特に「咳やくしゃみなどおなかに力が入る時」に起こる「腹圧性尿失禁」の経験は72.3%にのぼりました。シニア世代だけではなく、身体の変化が起こる更年期世代なら身近な悩みです。
また20代〜30代でも出産後は尿漏れに悩む方も多くいます。出産直後は子宮が大きい状態なので、膀胱が圧迫されていますし、分娩時のいきみで骨盤底筋群に大きな負担をかけてしまっているためです。女性なら年齢問わず誰しもが経験する可能性があると考えて良いのが、尿漏れです。
■尿漏れと女性ホルモンの関係
さらに、40代〜50代の更年期の尿漏れは、実は女性ホルモンが関係している可能性も。
更年期障害とは、身体が閉経に向うことで女性ホルモン「エストロゲン」が低下することで起こる様々な不調です。エストロゲンは、膀胱や膣、尿道の血流を活性化させる働きをもっているので、減少するとこれらの代謝も落ちて「尿漏れ」が起こりやすくなります。また、代謝の低下により閉経後は腟や外陰部の粘膜が薄くなり、表面の雑菌が増加します。こうして慢性的な腟炎の状態が続くことが多く、尿道炎や膀胱炎などにもかかりやすくなります。
そして、女性ホルモンの減少は骨盤底筋が自然と弱くなることも知られています。尿漏れと女性ホルモンは切っても切れない関係なのです。
■尿漏れ対策
では、尿漏れ対策には何をすればいいのでしょうか?
すぐに始められる対策をご紹介します。
・骨盤底筋体操エクササイズ
女性に一番多い「腹圧性尿失禁」は、骨盤底筋を鍛えることで改善することがあります。
鍛え方は簡単。楽な姿勢(椅子に腰かけた状態・仰向けに寝転がり、膝を90度に曲げた状態・両足を肩幅に立ち、両手を軽く壁やテーブルについた状態)で肛門と膣を5秒間締めたり緩めたりを繰り返し行うだけです。
・食生活改善
カフェイン、アルコール、人工甘味料は利尿作用があるので、尿漏れを引き起こす原因につながるので、これらを控えてください。また、便秘も膀胱を圧迫したり骨盤底筋を閉めにくくしたりするので、食物繊維を多めに摂り、バランスの良い食生活を心掛けましょう。
・体重コントロール
実は便秘同様、肥満も膀胱を押したり、骨盤底筋を締めにくくする原因になります。「自分の体重-(身長-100センチ)=余分な体重」と考えて、減らすように努力しましょう。適度な運動と食生活改善で標準体型になれば、尿漏れも改善が見込まれます。
・吸水ショーツを取り入れる
尿漏れ対策をしながら、日常的に取り入れたいのが「吸水ショーツ」。吸水性や防水性を備えた布を何層にも重ねたショーツなので、外出時でも尿漏れ用の吸水シートを持ち運んだり交換したりする手間がかからず、蒸れやかぶれの心配もありません。
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実は多くの女性が悩んでいる尿漏れ。原因と対策を知れば、気持ちが楽になりませんか? できることから対策を始めてみましょう。
【参考文献】
日本泌尿器科学会(https://www.urol.or.jp/public/symptom/04.html)
大王製紙株式会社エリエール「尿モレの基礎知識」(https://www.elleair.jp/natura/clinic/)
ユニ・チャーム株式会社 「女性ホルモンと尿もれの関係」(https://jp.charmnap.com/ja/grownwoman_faq/032.html)
大鵬薬品工業株式会社「頻尿.JP」(https://www.hinnyou.jp/cope/)